【ごちうさSS】秋のお泊まり会と枕投げ大乱闘|ホットミルクティーと4つのやさしさ

11月の帰り道、チノ・フユ・マヤ・メグの四人はチノの家にお泊りをすることになった。お泊り当日、みんなでワイワイ騒いでティッピーを触ったり・・・「ご注文はうさぎですか?」を題材にした二次創作ショートストーリです。

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ごちうさSS プロローグ:秋風の約束

十一月の風は、石畳の街路に落ち葉を勢いよく転がしていた。
マヤが、まるで飛び込み台から跳ぶみたいに落ち葉の山へ突込んだ。
「ぬおーー!!落ち葉アタックーッ!!」
派手に舞い上がる落ち葉。メグが目を丸くして笑う。
「うわぁ〜、秋だねぇ〜。マヤちゃん埋まっちゃってる〜」
フユは落ち葉まみれのマヤの頭を軽くつついた。
「……葉っぱ、つき放題だよ。静電気すごいね」
「静電気の季節ってことだな!」とマヤは誇らしげに言った。
チノはふふっと微笑み、マヤの首元のマフラーのゆるんだ端を、自然に直す。
「風、強いですから」
マヤは誰が直したか気づかないまま「お、ありがとー!」と跳ねる。
その“自然な手つき”を、フユは温かい目で見つめていた。

歩いて帰る道すがら、メグが唐突に言った。
「ねえねえ、今日……チノちゃんの部屋でお泊まり会したいな?」
「しよ!!やろ!!絶対楽しい!!」とマヤは二秒で乗った。
フユは小さく息を吸って、ぽつり。「……私も行きたい。チノの部屋、好き。落ち着く」
チノは驚いたように瞬きをして、そして微笑んだ。
「みなさんがよければ……ぜひ」
その笑みは、秋風より静かで、でもほっとする温度をもっていた。#top


第1章:高密度王者と“ふわ磨き”

閉店後のラビットハウス。
ランプの灯りだけが、穏やかに揺れていた。
ソファの中央で、ティッピーが圧倒的存在感で丸くなっている。
その様は王者の風格をしていた。
そこにマヤは勢いよく突撃する。「ティッピー確保ーーっ!!」
抱えた瞬間、「重っ!?今日のティッピー、密度三割増しじゃない!?冬仕様なの!?」
チノは微笑みながら首を傾げた。「マヤさん、ティッピーは常にこの密度ですよ」
フユがティッピーの脇に手を入れ、試しにほんの僅か持ち上げてみた。
「……ほんと。密度あるね。フサフサして上等な毛皮を触っている感じ」
メグはティッピーをそっと抱え込み、うっとりした顔で言った。
「ふぁぁ……ふわふわで……ずっしりで……落ち着く……」
「ねえねえメグー、持ち方それ“お餅”みたいだよ!?」とマヤはツッコんだ。

チノが近づいて言った。「実はこう撫でると……もっとふわふわになるんですよ。“ふわ磨き”です」
チノはそっとティッピーの毛をなでる。まるで光を反射したみたいに白い毛並みがふわっと輝いた。
するとティッピーは神々しいまでの輝きを放ち始め、
チノの頭上で後光が差しているかのように見えた。
あまりの眩しさに、マヤは驚いて「おぉぉぉ!?光った!?毛並み発光モードなの!?チノ何者!?」
と目をこすった。
フユはやや目を見開きながら、ぽつんと。「……いいな。わたしも、あんなふうに撫でたい」と言った。
「ふふっ、練習すればできますよ」とチノはやさしく答えた。
ふわふわになったティッピーは誇らしげに「ほっほっ」と鳴いていた。
そして、すっくと立ち上がると、近くにいたマヤとメグに向かって
「どうだ」と言わんばかりに胸(?)を張り、自慢の毛並みをこれ見よがしに輝かせた。#top


第2章:枕投げ(CHAOS MODE)

チノの部屋。四枚の布団が整然と敷かれていたのだが、
みんなの様子はまるで“これから荒れる”と予告しているようだった。

まず、メグが枕を軽く持ち上げて言った。「じゃあ……始めよっか。枕投げ」
チノは指を立てて注意する。「顔は禁止ですよ。あと、隣の部屋に響かない程度で……」
「了解!紳士規定発動っーー!!」マヤはすでに臨戦態勢を取っていた。
ぽすっ。メグに最初の一撃がヒット。「きゃあっ……えへへ、やさし〜〜〜♡」
「メグは狙いやすいんだよな!」とマヤは満足げに言った。

フユは枕を両手で持ちながら、少しだけ前に出た。「……いくね」 ぽふっ(超弱)
「フユー、その攻撃“春のそよ風”くらいだよ!?」とマヤは挑発気味に言う。
「……全力。これ以上は、布団がかわいそう」とフユは真顔で返した。
メグは「ふえぇぇ……優しいね〜〜!!」と笑い崩れる。
チノは枕を持ち上げ、淡々と構えた。「では……私も行きます」 びゅっ(高速)。ぽすっ。
「うぎゃっ!?速っ!?なんで無音で飛んでくるの!?」
「ふふっ、うさぎフォームを意識すると精度が上がります」
「狙撃手だ!!チノ絶対プロ!!」とマヤははしゃいだ。

そこから先はもうドタバタとした枕投げになっていった。
マヤの枕がカーテンに引っかかり、メグが何もない床で転び、フユが慌ててメグを救出する。
しかし、チノの枕だけは“必中”でマヤを追い続けていった。
「なんで私だけ狙われてるのさ!?チノは人工知能搭載してるの!?」
「人工知能ではありません。マヤさんの行動が、予測しやすいように最適化されているだけです」
「むーっ、理由が正しいっ!!」 もはや枕投げというよりアクション映画になってしまった。
輝けるふわふわティッピーが布団の上で「ほっほっ」言いながら観戦していた。#top


第3章:秘密の“やさしさ”

一通り暴れたあと、チノがホットミルクティーを入れて戻ってきた。
「はい。みなさん分です」
「チノちゃん、ありがとう……!天使だねっ……!」とメグが目を細める。
フユはカップを両手で持ち、小さく息をのせた。「……あったかいね。これ、好き」
マヤは一気に半分飲んだあと、天井を見て言う。「今日なーんか楽しいな!なんだろね!」
メグがぽそっという。「チノちゃんのお部屋って、なんか落ち着くんだよねぇ……」
フユはそれに小さく頷いた。「……わかる。空気がやさしい感じする」
チノは困ったように、でも嬉しそうに微笑んだ。「そうでしょうか……?」

そのときメグが気づいて言った。「ねぇ、マヤちゃん。そのマフラー……結び方違くない?」
「あれ?なんか綺麗にまとまってる……?」
「……さっき、風で乱れたとき。直してくれてた。チノが」フユがぽそっと言った。
マヤが振り返る。「え、なおしてくれたのチノだったの!?全然気付かなかった!!ありがとう!」
チノは少しだけ照れたように視線を外した。「……なんとなくです。癖のようなものなので」
四人の間にぽかっと温かい気配が生まれた。#top


エピローグ:ふわ磨きのウサギ、返上せず

マヤが布団の上に座り直し、突然言った。「はい!じゃあ今日の終わりに合言葉つくろう!」
「いいね〜!」とメグは賛同する。
フユは少し考えて、ぽつりと言った。「……ふわ磨き。今日のティッピー、すごかった」
「じゃあさ!」マヤが勢いよく立ち上がった。「“ふわ磨きのウサギ、返上せず!” とかどう!?」
「いいね~それ〜〜!!」
「……意味わかんないけど好き」とフユ。
「では、せーの――」 四人「ふわ磨きのウサギ、返上せずーー!!」
部屋のランプが揺れ、ティッピーは「ほっ!」と鳴いた。

翌朝。落ち葉の道に、昨日マヤが飛び込んだ跡が残っていた。
「見て〜〜!昨日のうさぎ落ち葉の形、まだある〜!」
フユがどんぐりをそっとその上に置いた。「……これで完成、かな」
チノはその横に小さく笑みをのせた。「今日も、いい日になりそうですね」
マヤが両手を広げる。「チノちゃん!また泊まっていい!?」
「また枕投げしようね〜!」
「……また、一緒がいい」
チノは微笑んだ。「もちろんです。またいつでも」
ラビットハウスの看板が「OPEN」に返され、四人の声が秋の風に混ざっていった。
昨日より、すこしだけ仲良くなったような、そんな朝だった。#top


他にもイラストは、ギャラリーページでも高画質でご覧いただけます。

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