【ごちうさSS】シャロ誕生日2026|青いバラと完璧すぎるお返し【ファンアート】

チノちゃんたちと過ごす賑やかな日常の中で、今日はシャロの特別な日。

けれど、素直になれない彼女のもとに届いたのは、少し意外で温かい贈り物でした。

これは、不器用なお嬢様(?)が、大切な仲間たちのために知恵とプライド、そしてほんの少しの無理を詰め込んで奮闘する、ある誕生日の物語。
リンク:ご注文はうさぎですか?

1.青いバラのプレゼントとチノたちからのお祝いカード

チノ・マヤ・メグ・フユ
「ハッピーバースデー、シャロちゃん!」

賑やかな声とともに差し出されたのは、目の覚めるような美しい青いバラの花束だった。

驚きに目を見開くシャロの前で、チノ、マヤ、メグ、そしてフユの四人が、嬉しそうに微笑んでいる。

花束には、それぞれの手書きメッセージが添えられていた。

チノのカード
『シャロさんが、無理をしすぎずに笑っていられますように』

マヤのカード
『シャロちゃんの夢が、ぜーんぶ叶いますように!』

メグのカード
『疲れた日は、私たちと一緒にゆっくりしようね』

フユのカード
『シャロちゃんが幸せでいられること。それが一番素敵な奇跡だと思うよ』

シャロ
「ふ、ふん。青いバラだなんて、私の好みをよく分かっているじゃない」

最初はいつものように、お嬢様らしくすました態度を取ろうとしたシャロだった。

しかし、カードに書かれた言葉を順番に読んでいくうちに、言葉が喉につかえる。

そこに書かれていたのは、外面の立派さを褒める言葉ではない。

無理をせず、ただシャロらしく幸せでいてほしいという、温かい願いだった。

シャロ
「……私って、こんなに大切に思われていたのね」

じわじわと胸に広がる感動。

しかし、その余韻はわずか数秒で、シャロ特有の強迫観念へとすり替わった。

シャロ
「――まずいわ!」

チノ
「何がですか?」

シャロ
「こんなに素敵な贈り物をもらっておいて、何も返さないなんて、お嬢様の名折れよ!」

マヤ
「シャロちゃんって、お嬢様だったっけ?」

シャロ
「精神の話よ!」

マヤの鋭いツッコミをはねのけながら、シャロの瞳には「完璧なお返し」という使命感が燃え上がっていた。#top


2.シャロの理想とお財布の現実|完璧なお返しを求めて

自宅に戻ったシャロは、机の上に青いバラを飾り、さっそくお返しの計画を練り始めた。

高級な紅茶。
上品なアクセサリー。
有名店のお菓子。

どれを選んでも、お返しとしては申し分ない。

ただ一つ、致命的な問題を除けば。

シャロ
「……一応、確認しておきましょう」

恐る恐る財布を開き、中身を見つめる。

そして、静かに閉じた。

深呼吸をして、もう一度開いてみる。

シャロ
「……増えてないわね」

念のため財布を逆さに振ってみたが、当然ながら何も出てこない。

それでも諦めきれないシャロは、家の中や庭を歩き回り、贈り物にできそうなものを探し始めた。

しかし、庭に生えているのは、元気よく青々と伸びた雑草ばかりだった。

シャロ
「雑草なら、いくらでもあるけれど……」

試しに数本摘み、手元にあったリボンを巻いてみる。

完成したものを地面に置き、少し離れた場所から眺めてみた。

シャロ
「…………」

シャロ
「駄目ね。リボンを巻いても、雑草は雑草だわ」

もう一度、見る角度を変えて眺める。

シャロ
「珍しい野草のブーケと言い張るには……少し無理があるもの!」

花束のお返しに雑草を渡そうとした自分にセルフツッコミを入れ、シャロはがっくりと肩を落とした。自宅に戻ったシャロは、机の上に青いバラを飾り、さっそくお返しの計画を練り始めた。#top


3.シャロが選んだ完璧すぎる(?)4つのお返しスイーツ

シャロ
「お金がないなら、知恵と努力で高級感を演出すればいいのよ!」

シャロは勢いよく台所に立ち、家にある食材をかき集めた。

パンの耳、卵、牛乳、小麦粉、砂糖、安売りのリンゴ。

そして、瓶の底にわずかに残ったジャム。

普通なら、節約おやつが数品できる程度のラインナップだ。

しかし、シャロの脳内フィルターを通ると、瞬時に宮廷風ティーパーティーのメニューへと変換された。

パンの耳は、

『バトネ・ド・パンのキャラメリゼ』

牛乳寒天は、

『ミルクの余韻を閉じ込めた白銀のテリーヌ』

薄切りリンゴの焼き菓子は、

『薔薇仕立ての林檎のプティ・タルト』

ジャムを挟んだクッキーは、

『ベリーソースを抱いたミロワール・サブレ』

シャロ
「食材の価格と、料理の格式は別問題よ!」

そこから、シャロの執念に満ちた作業が始まった。

リンゴを限界まで薄くスライスし、きれいなバラの形になるまで何度も並べ直す。

パンの耳は定規を使い、一本ずつ同じ長さに切りそろえた。

途中で砂糖を焦がしても、シャロは決して失敗を認めない。

シャロ
「これは失敗じゃないわ。深みのあるビター仕立てよ」

クッキーも何枚か黒く焦げた。

シャロ
「……これもビター仕立てね」

牛乳寒天は、予定よりもずいぶん固く仕上がった。

シャロ
「食感を重視したのよ。高級料理には意外性も必要なの」

失敗をすべて高級料理らしい言葉で押し切りながら、シャロは徹夜でオーブンの前に立ち続けた。

手書きのメニュー表まで優雅な装飾文字で仕上げた頃には、窓の外が白み始めていた。#top

シャロが徹夜で作った手作りお菓子(パンの耳のキャラメリゼやリンゴタルト)

4.お返しの結末と本当の完璧|夕暮れ時のコースメニュー

翌日。

シャロの家に招かれた四人は、目の前の光景に言葉を失った。

テーブルの上には、シャロの台所から生まれたとは思えないほど、華やかなお菓子が並んでいる。

銀食器のように磨かれたスプーン。

一皿ずつ添えられたメニューカード。

必要以上に繊細な盛り付け。

そして、なぜか用意されている手書きのコースメニュー。

チノ
「えっ……これを、全部私たちに?」

マヤ
「すごーい! どれから食べよう!」

マヤがさっそくお菓子に手を伸ばそうとする。

メグ
「ちょっと待って、マヤちゃん。まだシャロちゃんの説明を聞いてないよ」

マヤ
「説明を聞かないと食べられないの?」

シャロ
「当然でしょ! 料理には正しい鑑賞手順というものがあるのよ!」

その横で、フユは料理をじっと観察していた。

フユ
「この細長いお菓子、パンの耳だね」

シャロ
「バトネよ!」

フユ
「こっちは牛乳寒天?」

シャロ
「白銀のテリーヌ!」

フユ
「この黒いクッキーは……」

シャロ
「ビター仕立てよ!」

マヤ
「焦げてるだけじゃない?」

シャロ
「あなたたち、料理名に対する敬意が足りないわ!」

見た目の豪華さから、高価な材料が使われていると思ったチノは、心配そうにシャロを見つめる。

チノ
「こんなに高価そうなお返し、いただくわけには……」

シャロ
「金額に換算するようなものではないわ」

フユ
「材料費だけなら、五百円くらいかな」

シャロ
「フユ、換算しないで!」

マヤは、すでにパンの耳のキャラメリゼを口に入れている。

マヤ
「おーっ! 見た目より普通の味!」

シャロ
「褒めてるの、それ!?」

お菓子は、意外にもきちんとおいしかった。

安価な材料から作られたとは思えないほど、味も盛り付けもよくできている。

ただし、料理名と演出が大げさすぎるため、食べる側は妙な緊張感に包まれていた。

メグ
「このお皿は、どのフォークを使えばいいの?」

シャロ
「外側からよ」

メグ
「でも、フォークは一本しかないよ?」

シャロ
「気持ちの上で外側から使うのよ!」

チノ
「気持ちの問題なんですね……」#top


5.シャロお嬢様の完璧なお返しの代償|ばれてしまった「無理」

賑やかな時間が流れる中、チノはふと、シャロの指先に貼られた絆創膏に気づいた。

チノ
「シャロさん。その手、どうしたんですか?」

シャロ
「……キャラメリゼよ」

チノ
「目の下の深いクマは?」

シャロ
「……盛り付けよ」

チノ
「盛り付けではクマはできません」

シャロ
「完璧な盛り付けにはできるの!」

頑なに言い張るシャロに、チノは呆れ半分、心配半分といった様子でため息をついた。

チノ
「お返しをしてもらうために、花を贈ったわけではありません」

チノ
「無理をしないでくださいって、カードにも書いたはずです」

シャロ
「分かっているわよ!」

シャロは思わず大きな声を上げた。

しかし、すぐにきまり悪そうに視線をそらす。

シャロ
「……でも、あんなことを書かれたら、私だって何かしたくなるじゃない」

シャロ
「私も、みんなを同じくらい喜ばせたかっただけよ」

小さな声で本音をこぼすシャロ。

一瞬、部屋が静まり返る。

その温かな空気を破ったのは、マヤの明るい声だった。

マヤ
「じゃあ、次はみんなで普通のクッキーを作ろうよ!」

シャロ
「今のは普通じゃないって言いたいの!?」

感動的になりかけた空気は一瞬で吹き飛び、部屋にはいつもの賑やかなやり取りが戻ってきた。#top


6.シャロとチマメ隊とフユの宴――形は不揃い、心は100点満点

余った材料を使い、今度は五人でキッチンに立つことになった。

マヤが小麦粉の袋を勢いよく開き、盛大に中身をこぼす。

マヤ
「あっ」

メグ
「もう、マヤちゃん!」

メグが慌てて布巾で拭こうとした結果、小麦粉はさらに広い範囲へと伸びていった。

メグ
「あれ? 広がっちゃった……」

チノは何も言わずに立ち上がり、掃除用具を取りに向かう。

そんな様子を眺めながら、フユがぽつりと呟いた。

フユ
「これは、小麦粉の舞う白銀のキッチンだね」

シャロ
「変なところだけ真似しないで!」

マヤ
「シャロ、さっきの雑草も入れてみる?」

シャロ
「マヤちゃん、まだ覚えてたの!?」

マヤ
「珍しい野草のクッキーになるかも!」

シャロ
「ならないわよ!」

焼き上がったクッキーは、形も大きさもバラバラだった。

シャロが一人で作ったお菓子のような、高級感も統一感もない。

けれど、五人で囲むテーブルには、先ほどよりも自然な笑顔があふれていた。

青いバラの隣には、少し焦げたキャラメリゼと、形のいびつなクッキーが並んでいる。

マヤ
「このクッキー、何て名前?」

シャロは少し考えてから答えた。

シャロ
「……普通のクッキーよ」

フユ
「ずいぶん思い切った名前だね」

シャロ
「名前じゃないわよ!」

最後まで誰も手をつけなかった、少し固すぎる「白銀のテリーヌ」に見守られながら、シャロの温かな誕生日は更けていくのだった。#top

手作りクッキーを囲んで楽しそうに談笑するごちうさメンバーのイラスト

この記事に登場したキャラクターたちのイラストは、ギャラリーページでも高画質でご覧いただけます。

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