あらすじ|千束の誕生日、もしも普通の女の子だったら
9月23日は、錦木千束の誕生日。
誕生日を翌日に控えた喫茶リコリコで、千束が思い浮かべたのは、井ノ上たきなと同じ学校へ通う日々でした。
放課後の寄り道、服選び、ゲームセンター、クレープの一口交換。もしも二人がリコリスにならず、普通の高校生として出会っていたら――。
にぎやかなお出かけと、小さな贈り物に込められた気持ちを描く、千束の誕生日を祝う物語です。
※本作は『リコリス・リコイル』の非公式二次創作SSです。普通の高校生として暮らすIF設定を含み、原作・公式の設定や物語とは異なります。
作品公式サイト:リコリス・リコイル


1.誕生日前夜の、もしも
閉店後のリコリコで、千束はソファの背もたれに顎を載せていた。
カウンターでは、たきなが拭き終えたカップを並べている。奥の厨房からは、ミカが何かを片づける音。ミズキとクルミは、さっきから姿が見えない。
千束「ねえ、たきな。今日さ、駅前に高校生の子たちがいたんだけど」
たきな「はい」
千束「ケーキの箱、誰が持つかでもめてんの。ひとりは自転車だから無理、ひとりは前に落としたから信用ないって」
たきな「前に落とした人は、やめたほうがいいですね」
千束「でしょ? なのに本人、名誉挽回したがっててさあ」
思い出すと、また笑えた。信号が変わるまでの短い時間に、箱の持ち主は三度も交代していた。
千束「ああいう誕生日も、楽しそうだよね」
たきな「ケーキが無事なら」
千束「そこから離れて? ほら、学校終わって、友達んち集まって。制服のまんまお祝いとか」
たきなの手が止まる。
千束「私たちも普通に学校通ってたら、どうなってたかなあ」
頭に浮かんだのは、並んだ机と、窓際の席。黒板を写すたきなの横顔だ。
千束「たきな、宿題見せてくれなさそー」
たきな「自分でやってください」
千束「まだ学校にも入ってないのに怒られた」
たきな「分からないところなら教えます」
千束「お。じゃあ最初の問題から」
たきな「まず読んでください」
千束は背もたれに頬を押しつけて笑った。先生に呼ばれたら、こんなふうに一緒に叱られるのだろうか。たきなはきっと、私は止めました、と真顔で言う。
それでも放課後には、迎えに来てくれそうな気がした。
たきな「少し、奥に行っています」
千束「なになに、内緒の相談?」
たきな「準備です。千束は休んでいてください」
千束「はーい。休むの得意でーす」
ソファへ横になると、たきなが薄いブランケットを渡してくれた。
厨房の扉が閉まる。時計の針の音が、急にはっきり聞こえた。
窓の外には、九月二十二日の夜がある。
千束はブランケットを胸元まで引き上げた。
同じ制服。帰り道の寄り道。鞄に入っているのは、教科書と、筆箱と――。
千束「……たきな、赤ペンとかいっぱい持ってそ」
小さく笑ったところで、まぶたが落ちた。
2.放課後、迎えに来る人
たきな「千束。帰らないんですか」
顔を上げると、教室の入り口にたきなが立っていた。
白いシャツに、学校指定のリボン。肩にかけた鞄には、千束と同じ校章がついている。
千束の机には数学のプリントが広がっていた。窓の外では、運動部の掛け声がしている。
ここでは、二人ともリコリスではない。
千束は高校二年生で、たきなは一年生。毎朝校門をくぐって授業を受け、帰りにはミカの営む喫茶店へ寄る。春に転入してきたたきなへ校内を案内してから、それがいつもの帰り道になっていた。
千束「あ、迎えに来てくれた。ちょうどよかった、この問題がさ」
たきな「私はまだ習っていません」
千束「そっか。先輩の威厳が守られた」
たきな「先生に聞きに行きますか」
千束「今ちょっと傷ついたとこだから優しくして」
プリントを鞄にしまい、立ち上がる。たきなは当然のように、千束が机の横に掛け忘れた上着を取った。
廊下へ出ると、西日が二人の上履きを長く照らした。
千束「ねえ、二十三日って空いてる?」
たきな「空けてあります」
千束「……お?」
たきな「誕生日ですよね」
あまりに簡単に言われて、用意していた売り込み文句が全部いらなくなった。
千束「なーんだ。覚えてくれてたんだあ」
たきな「先週も聞きました」
千束「それでも、空けといてくれたんでしょ?」
たきなは上着を千束へ押しつけた。
たきな「どこに行きたいんですか」
千束「一日たきなと遊べれば、どこでも」
言ってから顔をのぞくと、たきなは階段へ視線を向けたまま、歩く速度を少し上げた。
たきな「行き先は決めてください」
千束「はいはい。あ、プレゼントとかある?」
たきな「当日に」
千束「あるんだ!」
たきな「……今のは忘れてください」
千束「無理ですねえ。千束さん、そういう記憶はいいので」
靴を履き替えてからも探ってみたけれど、たきなは頑として答えなかった。ただ、千束が文房具屋の前で足を止めたときだけ、少しそわそわした。
店先には、小さなアルバムが並んでいた。
千束「こういうの、まだあるんだね。写真入れるやつ」
たきな「ありますね。行きましょう」
千束「急に帰宅への意欲が高い」
たきな「お店、混みますから」
袖を引かれるまま、千束は歩きだした。
何をくれるのかも気になるけれど、内緒にしようと頑張っている顔を、もう少し見ていたかった。
3.誕生日特権、使いすぎです

九月二十三日、待ち合わせ場所に来たたきなは、淡い色のブラウスを着ていた。
髪の片側を小さなピンで留めている。
千束「かーわいい」
たきな「おはようございます」
千束「おはよう。かわいい」
たきな「二回言わなくても聞こえています」
千束「二回見てもかわいかったもんで」
たきなは鞄の持ち手を握り直した。
たきな「……誕生日、おめでとうございます」
千束「うん。ありがと」
通りの向こうから吹いた風が、ブラウスの袖をふわりと膨らませた。千束はそちらへ一歩近づき、並んで歩きだした。
最初の予定は、千束の秋服を見ることだった。
十五分後、試着室の前に服を三着抱えていたのも千束だった。
たきな「どうして私が着るんですか」
千束「似合うかどうかは着てみないと分かんないでしょ」
たきな「千束の服を見に来たんですよね」
千束「誕生日の人が見たいものを見る。筋は通ってる」
カーテンの向こうから、ため息が聞こえた。
やがて出てきたたきなは、柔らかい青のカーディガンを羽織っていた。
千束は服を持ったまま、両手を広げた。
千束「ほらあ!」
たきな「何が『ほら』なんですか」
千束「似合うって言ったじゃん。鏡見て、鏡」
たきなは落ち着かなさそうに袖を引いた。それから鏡の中で、ほんの少し首を傾けた。
千束「それ、たきなも気に入った顔」
たきな「……着やすくはあります」
結局、店を出たときに買い物袋を持っていたのは、たきなだけだった。
千束「いい買い物したねえ」
たきな「千束は何も買っていません」
千束「満足したからよし」
その満足顔は、次のゲームセンターで崩れることになった。
画面の中で、千束の車が派手に壁へぶつかった。
隣のたきなは、最後のカーブをきれいに曲がってゴールする。
千束「待って待って。今日、誰の誕生日でしたっけ?」
たきな「千束です」
千束「お祝いの気持ちとかは?」
たきな「あります」
千束「走りに出てないんだよなあ!」
たきな「もう一回やりますか」
千束は財布を開いた。
二回目も負けた。
三回目は勝った。思わず両手を上げると、隣でたきなが画面を見つめていた。
たきな「今のコースなら、もう少し速く走れます」
千束「お。悔しい?」
たきな「もう一回だけ」
その一回が終わる頃には、昼食の予定が三十分ほど後ろへずれていた。
クレープ屋のベンチで、千束は苺の載った生クリームをひと口かじる。
隣では、たきながチョコバナナを慎重に包み紙から出していた。
千束「そっちもおいしそ。一口交換しよ」
たきな「はい」
差し出されたクレープを、千束は遠慮なくかじった。
たきなが断面を見る。
千束を見る。
千束「……おいしいね?」
たきな「そうですね」
千束の手首が、そっと引き寄せられた。
戻ってきたとき、苺が一個なくなっていた。
千束「あっ、主役!」
たきな「バナナも、かなりなくなりました」
千束「交渉の余地なし?」
たきなは口元にチョコをつけたまま、少しだけ笑った。
千束も笑い、紙ナプキンを渡す。
そのあと服屋の袋を足元へ置き直していると、小さなシャッター音がした。
千束「ん? 今撮った?」
たきな「はい」
千束「言ってよ。ほら、こういうのはさ」
顔の横で指を立て、少し顎を引く。
たきなはスマートフォンを下ろした。
千束「撮らんのかい」
たきな「さっきのほうがよかったので」
千束「注文が細かいカメラマンだなあ」
画面を見せてもらうと、そこにはナプキンを差し出しながら笑っている自分がいた。
もう一枚前は、ゲームに勝って両手を上げているところ。その前は、試着室の前で服を抱えているところだった。
千束「私ばっかじゃん」
たきな「今日は、千束を撮ろうと思って」
千束「……ふうん」
もう一度画面を見る。自分がこんな顔をしていたなんて、知らなかった。
千束「でも、たきながいない」
スマートフォンを受け取り、前のカメラへ切り替える。たきなの肩へ腕を回すと、細い身体が少し固まった。
千束「はい、こっち」
たきな「近いです」
千束「離れたら入んないもーん」
画面の中で、たきながようやくこちらを見た。
その瞬間を撮ってから、千束は残りのクレープをかじった。
今度は、ちゃんと二人とも写っていた。
4.まだ写真のないページ
リコリコの扉を開けると、ミカがカウンターの向こうで微笑んだ。
ミカ「おかえり。楽しかったか」
千束「たきながレースで本気出すんだよ、先生」
たきな「最後に勝ったのは千束です」
千束「それは私のたゆまぬ努力の成果です」
いつもの席に座ると、小さなケーキが運ばれてきた。
白いクリームの上に苺が並び、チョコレートのプレートには千束の名前が書いてある。
千束「おお。こっちは苺がちゃんとある」
たきな「まだ言いますか」
ミカは事情を聞かず、笑いながらろうそくに火をつけた。
炎を吹き消すと、たきなが鞄から包みを取り出した。
たきな「これ。誕生日のプレゼントです」
赤いリボンが、少しだけ斜めに結ばれている。
千束はほどく前に、指先でその結び目をつまんだ。
千束「開けていい?」
たきな「そのために渡しました」
中に入っていたのは、手のひらよりひと回り大きなアルバムだった。
最初のページには、校門の前で笑う千束。
転入初日、たきなの写真を撮ろうとして、せっかくだからと近くの生徒に撮影を頼んだ日のものだ。たきなは端のほうに、背筋を伸ばして立っている。
次のページでは、購買のパンを二つ持った千束が笑っていた。
千束「これ、焼きそばパン最後の二個だった日」
たきな「走るから、何かと思いました」
千束「重大事件ですからね」
文化祭の飾りを作っている写真もある。千束の袖に紙の輪が引っかかっていて、たきなが取ろうとしていた。
千束「これ誰が撮ったの?」
たきな「クラスの方に、分けてもらいました」
千束「……私に内緒で?」
たきな「はい」
千束「やるなあ」
昼休み。帰り道。窓際でプリントを前にうなだれている自分までいた。
大きな行事ばかりではなかった。写真を見て初めて、あの日も楽しかったのだと思い出す。
千束はページをめくる手を、少し緩めた。
千束「たきな、こういうの作ってくれるんだね」
たきな「写真だけ送るより、見やすいかと思って」
透明なポケットの縁を指で押さえながら、たきなが言った。
たきな「……選んでいたら、思ったより多くなりました」
最後の写真は、雨の日に店の軒先で空を見上げる千束だった。
その先は、白い台紙が続いている。
千束「あれ。ここから空いてる」
たきな「今日の分を入れます」
もう一枚めくる。その次も、まだ白い。
千束「今日だけじゃ、埋まんなくない?」
たきな「これからも撮りますから」
千束の指が止まった。
たきなはケーキの皿を少し移動させ、アルバムを置く場所を広げていた。
来年は三年生になる。進路の話も増えるだろう。その先には卒業がある。
毎日迎えに来てもらえるのは、いつまでなのか。
白いページを見ながら浮かんだことを、千束は言わなかった。たきなはもう、その続きを入れる場所まで用意していた。
千束「じゃあさ」
顔を上げると、たきなもこちらを向く。
千束「来年の誕生日も、一緒に遊ぼ」
たきな「はい」
千束「予約ね。一日分」
たきな「分かりました」
簡単すぎるくらいの返事だった。
千束は笑って、もう一度アルバムを見る。今なら、この白いところが早く埋まってほしいような、もったいないような気がした。
たきな「千束。写真、撮ります」
千束「えー、また私だけ?」
たきな「そのままで」
スマートフォンがこちらを向く。
千束がアルバムを持ち直すと、名前を呼ばれた。
たきな「千束」
もう一度。
たきな「千束、起きてください」
5.言いそびれたこと
最初に見えたのは、たきなの顔だった。
ブラウスではなく、いつもの服を着ている。
背中の下にはソファがあり、胸元にはブランケットがあった。指先でつかんでいたのは、アルバムではなく、その端だった。
千束「あれ……」
たきな「日付、変わりましたよ」
時計を見る。午前零時を、少し過ぎていた。
厨房のほうからミズキの声がする。
ミズキ「主役、起きたー? ろうそく短くなっちゃうんだけど」
クルミ「だから起こしてから火をつけろって言ったのに」
ミズキ「あんたも止めなかったでしょ!」
千束は身体を起こした。
膝の上へ落ちたブランケットを、指でならす。
たきな「まだ眠いですか」
千束「……夢、見てた」
たきな「夢?」
千束「たきなと学校通ってんの。私が先輩で、たきなが迎えに来てくれてさ」
口にすると、教室の窓も、廊下の色も、まだすぐそこにある気がした。
千束「誕生日に遊びに行って、服見て。たきな、青いの似合ってたよ。あとレースで全然手加減してくんない」
たきな「夢の私に言ってください」
千束「クレープの苺も取るし」
たきな「私、何か怒っていたんですか」
千束「私が先にバナナいっぱい食べました」
たきな「では仕方ないですね」
千束は吹き出した。
やっぱり同じことを言う。
千束「あとね、アルバムくれた。学校の写真がいっぱい入ってるやつ」
たきなは、膝から滑りかけたブランケットを受け取った。
千束「後ろがまだ空いてて。これからの写真入れるからって」
たきな「……そうですか」
千束「うん。それで、来年も――」
そこまで言って、千束は止まった。
たきなが待っている。
同じ返事をしてくれる気はした。けれど、夢の中で約束したのだと話すのは、少しずるいような気もした。
千束「……あ、ケーキ。待ってんだった」
立ち上がり、スカートを軽く払う。
千束「お待たせしましたあ! 主役到着でーす」
テーブルには、ケーキがあった。
夢のものより少し大きく、チョコレートのプレートには同じ名前が載っている。ろうそくは一本だけ、傾いていた。
ミカ「誕生日おめでとう、千束」
ミズキ「おめでと。ほら、早く消して」
クルミ「もう一回寝るなよ」
千束「寝ませんよ。いやあ、皆さんおそろいで」
たきなが隣へ来た。
たきな「おめでとうございます、千束」
千束「……うん。ありがと」
息を吹きかける。
消えた炎から、細い煙が上がった。
6.来年も、その次も

ケーキを切り分ける間に、ミズキが飲み物を並べた。
千束が自分の皿を受け取ると、苺が二つ載っていた。
千束「私、多くない?」
ミカ「主役だからな」
千束「さっすが先生、分かってる」
隣からフォークが伸びてくることはなかった。たきなは自分の皿のクリームを、静かにすくっている。
千束「……一口いる?」
たきな「自分の分があります」
千束「そっか」
苺は甘かった。
食べ終わる前に、千束はスマートフォンを取り出した。
千束「写真撮ろ。みんなで」
クルミ「今から? もうケーキ欠けてるぞ」
千束「そこも含めてお祝い中ってことで」
ミズキが髪を直し、ミカがテーブルの端へ立つ。クルミは椅子を寄せて、ちゃんと写る位置を確保した。
タイマーの数字が減っていく。
千束はたきなの腕を引いた。
たきな「見えています」
千束「もっとこっち」
シャッターが切れた。
確認すると、ミズキが笑いすぎて目を閉じ、クルミはケーキの皿をこちらへ向けていた。ミカはいつもどおり穏やかな顔で、たきなは千束に引かれたぶんだけ肩が傾いている。
千束はその写真を皆に送った。
ミズキが早速撮り直しを要求し、二枚目も撮った。そちらではクルミがよそを向いていたので、結局どちらも残すことになった。
皿を下げ始めたたきなの袖を、千束はもう一度つまむ。
千束「たきな。二人でも」
たきな「さっき撮りましたよ」
千束「二人のは、まだ」
たきなは皿を置いた。
隣に座り直すのを待って、千束はスマートフォンを高く構える。画面へ入ろうと肩を寄せたところで、たきなも顔を近づけた。
思ったより近くなって、千束は笑ってしまった。
その拍子に指が触れ、シャッターが切れる。
たきな「ぶれましたね」
千束「んー。でも、いいんじゃない?」
画面の中の自分は、少し輪郭がぼやけている。たきなはそんな千束を横目で見て、口元を緩めていた。
撮ろうとすると、なかなか撮れない顔だった。
千束は拡大して、それから元に戻した。
たきな「来年は、食べる前に撮りましょう」
千束「……来年?」
たきな「ケーキも、きれいなうちに」
たきなの指が、画面の端に写った皿を示す。
それから、ごく普通の声で続けた。
たきな「来年の誕生日も、一緒に過ごしましょう。千束」
千束は顔を上げた。
スマートフォンを持った手が、少し下がる。
たきな「……千束?」
目の前のたきなは、不思議そうだった。
制服も着ていないし、アルバムも持っていない。
千束が言わずに飲み込んだことを、知っているはずもなかった。
千束「……うん」
最初の返事は、小さくなった。
たきなが首を傾げる。その顔を見ているうちに、千束の口元が勝手に緩んだ。
千束「じゃ、予約ね」
たきな「はい」
千束「一日分だよ? ケーキ食べて解散とかなしだからね」
たきな「分かっています」
千束「その次も、空けといてよ」
たきな「千束こそ、忘れないでください」
千束「忘れませーん。そういう記憶はいいので」
いつもの声に戻ったつもりだったけれど、最後だけ少し笑いすぎた。
たきなは何も言わず、もう一度画面へ目を落とした。
肩は、触れたままだった。
少し離れたカウンターで、ミズキが皿を重ねている。クルミが何か言い返し、ミカが二人をなだめていた。
千束は、膝の上のスマートフォンを見る。
写真の中では、二人の肩もくっついていた。
その下にある小さなハートを、千束は指先で一度、押した。

千束、お誕生日おめでとう。これからも、隣にいる大切な人たちと、笑顔の写真が増えていきますように。
千束とたきなの物語を、もう一編
二人の関係を描いたSSをもう少し楽しみたい方には、たきなの孤独と、千束が示す居場所を描いたこちらの物語もおすすめです。
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※本記事はファンによる非公式の二次創作です。原作および公式関係者とは関係ありません。




